J-REIT市況月次レポート 2014年11月

1.REIT全体市況

11月の東証REIT指数(配当なし)は、前月比+110.17ポイントの大幅上昇。10月末に発表された日銀の追加金融緩和にて、REIT買入れ枠を従来の3倍の年間900億円となることを受け、TOPIXを上回る上昇率を示した。中旬には7月~9月のGDP速報値がマイナスとの発表から一旦調整する場面もあったが、直後に消費税再増税の延期、衆議院解散の発表を機に再び上昇。月後半は長期金利の低下も追い風となり、月末は1,826.72と2007年末以来6年11ヶ月ぶりに高値を付けるとともに、REIT全体の時価総額が市場創設来初めて10兆円を超えた。

11月における日銀の買入れ額は60億円。東証REIT指数が下落に転じると日銀が買入れを行う構図が顕著となっており、日銀の存在は市場に安定感を与える一方、依存リスクも高まると指摘できる。
セクター別に見ると、住宅指数が前月比+12.0%、商業物流等指数が+8.9%の上昇に対し、オフィス指数が+2.7%に留まっている。REIT全面高の中、代表的な銘柄である日本ビルファンド投資法人(8951)、ジャパンリアルエステイト投資法人(8952)が下落した背景に、日銀による個別銘柄の買入れ限度(発行済投資口数の5%)を意識した動きも推測される。

11月は、日本ヘルスケア投資法人(3308)、トーセイ・リート投資法人(3451)が上場した。特に初のヘルスケア特化型REITとなる日本ヘルスケア投資法人は発行価格を48%上回る初値を付けたことから、注目の高さが窺えた。
既存銘柄では、5件の公募増資が発表された。なかでもケネディクス・オフィス投資法人(8972)、ユナイテッド・アーバン投資法人(8960)、アクティビア・プロパティーズ投資法人(3279)は、いずれも200億円規模の大型増資となった。投資口価格の上昇に伴い、プレミアム増資による増配効果を期待して増資の規模が大きくなる傾向にある。その一方不動産の取得競争が激化している背景から、増資の規模に対し取得資産の規模が小さくなることもあり、調達環境が良い時期に有利子負債比率の低下を優先する意向が見られる。今後一段の分配金増加のためには、ポートフォリオ平均以上のNOI利回りの物件取得、保有資産の稼働向上や賃料の上昇等、金融環境に頼らない運用の巧拙が問われることになろう。

 

<市況データ>

 

2014年11月末現在

(前月末比)

東証REIT指数(配当なし)

1,826.72

+110.17

東証REIT指数(配当込み)

3,139.72

+197.43

時価総額合計

10兆  285億円

+6,857億円

平均分配金利回り(時価総額による加重平均)

3.12%

-0.18%


<東証
REIT指数と予想分配金利回りの推移>  (グラフは2012年12月~2014年11月の24ヶ月間) 



2.個別銘柄データ

2014年11月末現在
証券コード 投資法人名 投資口価格
(円)
騰落率
(1ヶ月)
予想配当
利回り
時価総額
(百万円)
時価総額シェア
8951 日本ビルファンド投資法人 598,000 -3.86% 2.52% 844,376 8.4%
8952 ジャパンリアルエステイト投資法人 585,000 -3.78% 2.64% 732,145 7.3%
8953 日本リテールファンド投資法人 247,000 10.42% 3.38% 600,259 6.0%
8954 オリックス不動産投資法人 164,800 11.35% 3.11% 349,522 3.5%
8955 日本プライムリアルティ投資法人 430,500 5.00% 2.87% 355,163 3.5%
8956 プレミア投資法人 514,000 5.01% 4.01% 112,411 1.1%
8957 東急リアル・エステート投資法人 159,800 3.43% 3.07% 156,220 1.6%
8958 グローバル・ワン不動産投資法人 397,000 15.07% 4.74% 76,939 0.8%
8959 野村不動産オフィスファンド投資法人 495,500 0.30% 3.83% 184,600 1.8%
8960 ユナイテッド・アーバン投資法人 190,700 8.91% 3.02% 479,085 4.8%
8961 森トラスト総合リート投資法人 224,700 12.69% 3.38% 296,604 3.0%
8963 インヴィンシブル投資法人 44,000 15.79% 2.99% 117,422 1.2%
8964 フロンティア不動産投資法人 550,000 7.21% 3.42% 272,800 2.7%
8966 平和不動産リート投資法人 90,200 -1.10% 3.79% 79,507 0.8%
8967 日本ロジスティクスファンド投資法人 266,600 6.51% 2.87% 221,278 2.2%
8968 福岡リート投資法人 220,000 5.67% 3.05% 151,800 1.5%
8972 ケネディクス・オフィス投資法人 655,000 10.64% 3.36% 263,765 2.6%
8973 積水ハウス・SI レジデンシャル投資法人 122,300 12.20% 3.48% 124,515 1.2%
8975 いちご不動産投資法人 85,500 2.15% 3.72% 87,751 0.9%
8976 大和証券オフィス投資法人 598,000 0.67% 2.77% 263,718 2.6%
8977 阪急リート投資法人 146,100 14.86% 3.39% 87,295 0.9%
8979 スターツプロシード投資法人 187,500 3.08% 4.39% 32,583 0.3%
8982 トップリート投資法人 466,000 1.41% 3.99% 82,016 0.8%
8984 大和ハウス・レジデンシャル投資法人 541,000 15.11% 3.19% 202,264 2.0%
8985 ジャパン・ホテル・リート投資法人 77,200 12.37% 2.67% 215,487 2.1%
8986 日本賃貸住宅投資法人 84,800 9.56% 3.81% 125,085 1.2%
8987 ジャパンエクセレント投資法人 155,900 5.77% 3.15% 189,068 1.9%
3226 日本アコモデーションファンド投資法人 469,000 15.66% 3.30% 216,407 2.2%
3227 MIDリート投資法人 289,700 3.69% 4.00% 53,196 0.5%
3234 森ヒルズリート投資法人 166,100 6.41% 2.78% 260,784 2.6%
3240 野村不動産レジデンシャル投資法人 666,000 13.27% 3.48% 107,093 1.1%
3249 産業ファンド投資法人 1,053,000 15.71% 3.20% 174,305 1.7%
3269 アドバンス・レジデンス投資法人 290,000 10.94% 3.10% 377,000 3.8%
3278 ケネディクス・レジデンシャル投資法人 324,500 10.64% 3.66% 90,575 0.9%
3279 アクティビア・プロパティーズ投資法人 981,000 8.52% 3.26% 246,292 2.5%
3263 大和ハウスリート投資法人 528,000 5.92% 3.10% 154,957 1.5%
3281 GLP投資法人 136,800 8.92% 3.23% 327,052 3.3%
3282 コンフォリア・レジデンシャル投資法人 243,000 16.66% 3.47% 97,843 1.0%
3283 日本プロロジスリート投資法人 258,700 0.00% 2.93% 447,745 4.5%
3285 野村不動産マスターファンド投資法人 153,900 14.08% 3.14% 256,284 2.6%
3287 星野リゾート・リート投資法人 1,209,000 7.47% 2.71% 51,950 0.5%
3290 SIA不動産投資法人 437,000 4.05% 5.10% 32,819 0.3%
3292 イオンリート投資法人 171,200 21.07% 2.84% 162,640 1.6%
3295 ヒューリックリート投資法人 182,100 8.98% 3.02% 142,220 1.4%
3296 日本リート投資法人 369,000 14.60% 3.83% 56,018 0.6%
3298 インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人 104,200 2.96% 4.41% 45,085 0.4%
3308 日本ヘルスケア投資法人 242,200 - 2.85% 14,241 0.1%
3451 トーセイ・リート投資法人 108,000 - 2.97% 10,368 0.1%

予想利回り算出方法:年換算予想分配金(当期予想分配金+次期予想分配金)/投資口価格

但し、 決算期が年1回の銘柄: 年換算予想分配金(当期予想分配金)/投資口価格
※予想分配金が未発表の場合、直近期の予想分配金を使用する 

※実質運用日数が変則期間の場合、年換算に修正する 

※GLP投資法人(3281)、日本プロロジスリート投資法人(3283)、日本ヘルスケア投資法人(3308)は利益超過分配金を分配金に含めて算出する

 

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