2015年05月07日

野村不動産オフィスファンド投資法人(8959)

野村不動産オフィスファンド投資法人(NOF)は、三大都市圏や政令指定都市にあるオフィスビルへの投資に特化している。また、資産運用会社は国内最大級である。物件取得は、野村不動産グループを活用。

野村不動産オフィスファンド投資法人

野村不動産オフィスファンド投資法人(NOF)は、繁華性が高い場所や、最寄り駅から近いなど立地条件が良い物件が多く、またテナントが有名企業である物件が多い。そのうえで、NOFは投資の安定性と成長性を重視するため、長期投資を基本としている。ただ、その分だけポートフォリオには築年数が長期化した物件が目立つ。

ここがポイント

NOFは長期にわたり、投資口のパフォーマンス(価格の騰落率)が、J-REITの中では最も低迷した銘柄だった。暦年の四半期ベースで比較すると、09年第1四半期以降、15年の第1四半期までの25四半期のうち、NOFの騰落率が東証リート指数の騰落率を上回ったのは、8四半期にとどまる。言い換えれば、対東証リート指数で勝率は32%(8勝17敗)であり、全体の約3分の2は、リート市場の平均的なパフォーマンスを下回った。なお、NOFが東証リート指数のパフォーマンスを上回った8四半期とは、09年第1四半期、10年第4四半期、11年第1四半期、12年第1四半期と同第3四半期、13年第3四半期、14年第3四半期と同第4四半期だった。
 この低迷の要因として、物件の平均築年数が、J-REITのなかでは最も長い25年超であることから、賃料の引き下げ圧力が強まりやすいことや、修繕費の増加が懸念されることが、投資口の価格動向に悪影響を与えたとみられる。
 ただし、昨年の下半期以降を見ると、NOFの騰落率は東証リート指数を上回るか、ないしはほぼ同程度で推移している。これを、長期的な低迷からの回復の兆しと見る向きもある。とりわけ、悪材料視されてきたJALビルの賃料減額改定について、足下ではマーケットでの織り込みが進んだ可能性が高い。加えて、オフィスマーケット賃料が改善局面に入るとの市場の思惑も、投資口価格の下支えになっているようだ。
 とはいえ、築年数の長期化という問題を含めて、ポートフォリオの内容を改善しないことには、指数を継続的にアウトパフォームするとは難しいだろう。この観点からは、今後の物件の入れ替えが期待される。実際、NOFもそれを検討・推進するとしている。なお、今後、仮に物件入れ替えがあるとして、その際の売却損の発生に対して市場が前向きに評価するかどうかが、当該銘柄を再評価する動きの有無を占う意味で注目されよう。

NOFと東証リート指数の騰落率(四半期%)
 15年14年13年12年
四半期 1Q 4Q 3Q 2Q 1Q 4Q 3Q 2Q 1Q 4Q 3Q 2Q 1Q
東証リート -2% 14% 5% 9% -3% 0% 8% -15% 47% 9% 7% -3% 19%
NOF -2% 19% 5% 6% -8% -3% 16% -38% 42% 2% 9% -9% 25%
NOF-東証R 0% 5% 0% -3% -5% -3% 8% -23% -5% -8% 2% -5% 6%

物件探訪

野村オフィスファンドの投資物件は、野村不動産グループの情報経路を使って見出したオフィスビル。投資額でみれば東京にある物件が6割を占める。交通の利便性は良いが、築年数がかなり長い物件が多い。

物件1

新宿野村ビル 387億円(当初投資金額、以下同様) 9.3%(投資比率、以下同様)
東京メトロ西新宿駅から徒歩5分内、JR新宿駅から徒歩10分内、また小田急や京王の新宿駅が最寄り。地下5階付50階建て。野村不動産の開発で78年3月に竣工し、新宿の高層ビル街の草分け的存在である。11年には地下鉄が連結したことで利便性が増した。NOFは03年に取得。周辺では大型賃貸オフィスビルの建設が続いたが、現状は一服の様相である。

物件2

野村不動産天王洲ビル 330億円 8.0%
最寄りの東京臨海高速鉄道りんかい線・東京モノレール羽田線の「天王洲アイル」駅から徒歩5分。屋根のある歩行者通路で直結している。地下2階付26階建て。菱光倉庫等の開発で96年に竣工。日本航空系列の会社から、NOFが04年に取得した。以前は日本航空の本社があり、「JALビル」と呼ばれていたが、日航がSPCに持ち分を売却したことで、現在のビル名に改称した。他にはキャノンの子会社などがテナント。

物件3

麹町ミレニアムガーデン 265億円 6.4%
JR線、東京メトロ丸ノ内線、南北線の四ツ谷駅から徒歩3分。新宿通りに面している。地下4階付26階建てのオフィスレジデンスビル。大京等の開発で2000年に竣工。持ち分は大京から森トラストに渡り、14年にNOFが取得した。20年をめどに日本テレビがスタジオを含むオフィスビルを開発する計画があり、将来的に同地域の知名度が一段と上がるとみられている。

物件4

NOF日本橋本町ビル 206億円 5.0%
東京メトロ銀座線・半蔵門線の三越前駅や小伝馬町駅、JR線神田駅・新日本橋駅に近い。地下3階付8階建てのオフィスビル。伊藤忠の開発で61年に竣工した。NOFは03年に取得した。当初は伊藤忠の本社ビルだったことから、現在も伊藤忠の関連会社が多く入居している。築54年と古いビルである一方、敷地面積が3196㎡と1ブロックを占める大きさがあるために、再開発の可能性を指摘する向きもある。

物件5

天王洲パークサイドビル 148億円 3.6%
最寄りの東京臨海高速鉄道りんかい線・東京モノレール羽田線の「天王洲アイル」駅から徒歩3分。屋根のある歩行者通路で直結している。住友化学の関連会社が住友信託銀行に信託して開発し、95年に竣工。地下2階付21階建てである。住友ベークライトから野村不動産を経て、04年にNOFが取得した。石油関連企業の入居が多い。

銘柄概要

2015年04月15日時点

項目データ
銘柄名 野村不動産オフィスファンド投資法人
略号 NOF
コード 8959
設立 2003年8月
上場 2003年12月
決算 4月・10月
運用会社 野村不動産投資顧問
資産管理会社 三菱UFJ信託銀行
投資対象 大都市圏のオフィスビル
系列 野村不動産グループ
総資産 4,356億円
純資産 2,155億円
投資口 372,553口
時価 594,000 円(15年4月15日)
時価総額 2,212億円(15年4月15日)
52週高値 629,000円(15年1月21日)
52週安値 433,500円(14年4月25日)
売買単位 1口
格付け A-(S&P長期)、A+(R&I)
投資主 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社 (21.40%)
日本生命 (7.45%)
主幹事証券 野村、日興、三菱UFJモルガンS

※財務テータは14年10月末現在

業績の推移

決算期項目単位2010年2011年2012年2013年2014年2015年
4月 営業収益 百万円 13,686 13,117 12,441 12,673 12,260 12,959
当期純利益 5,034 4,428 3,902 4,026 3,630 3,539
1口当り分配金 16,500 14,512 12,790 12,412 10,000 9,500
10月 営業収益 百万円 13,364 13,637 12,701 12,378 13,105
当期純利益 4,479 4,627 3,912 3,635 3,941
1口当り分配金 14,681 14,837 12,824 10,000 10,579

※15年は会社予想

決算発表動画
物件取得価格ランキング
1 新宿三井ビルディング 1,700億円
2 飯田橋グラン・ブルーム 1,389億円
3 六本木ヒルズ森タワー 1,154億円
4 汐留ビルディング 1,069億円
5 東京汐留ビルディング 825億円
株価値上り率ランキング
1 コンフォリア・レジ +2.41%
2 三菱地所物流 +2.14%
3 日本ロジスティクス +1.88%
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