一方、不動産価格の下落は、それまであまり重視されていなかった賃料収入に脚光をあてるきっかけにもなりました。賃料収入は不動産価格ほど下落しなかったので、賃料収入だけでも十分な収益力を示すことが可能になったのです。 バブルの時代、100億円の価値があり、2億円の収益を生んでいた不動産を例にしてみましょう。この不動産の賃料収益の利回りは2%(2億円÷100億円)です。バブル時代は「ビッグ」など個人向け利付金融債でも7%以上の利回りがあったので、この賃料収入は微々たるものと言えるでしょう。不動産価格が上昇し、売却益を出して、はじめて投資となる状態です。 このような不動産を、バブル崩壊後、別の会社に50億円で売却したとしましょう。売主企業としては50億円の損失が発生しますが、購入価格100億円分の資産をバランスシートから落とせ、資産効率を高めることができます。 一方、購入した会社から見れば、同じ2億円の収益でも購入価格は50億円で、したがって利回りは4%(=2億円÷50億円)となります。現在では他の投資商品の利回りも低下していますので、十分な投資価値がある不動産に生まれ変わったことになります。 バブル以降、不動産価格は大幅に値下がりしましたが、値下がり後に購入した会社にとってはこの価格がスタート点であり、バブル時代の価格はまったく関係ありません。つまり、不動産価格の下落が、不動産投資の利回りを高くするきっかけを作ったのです。