2018年04月09日

鹿島建設、私募REIT運営に参入へ

4月2日週のニュース概観

(写真/iStock)

概況

4月6日、ゼネコン大手の鹿島建設株式会社(以下、鹿島建設)が私募REIT運営を目的として投資法人を新設したことが判明した。
サイバー法人台帳ROBINSへの掲載によると、新設投資法人の名称は「鹿島プライベートリート投資法人」。鹿島建設からは4月6日現時点で当該投資法人新設に係るリリースは出されていないが、当該投資法人の名称は勿論、当該投資法人の所在地と鹿島建設の100%子会社鹿島不動産投資顧問株式会社の所在地が同一であることから、鹿島建設グループをスポンサーとする私募REITだと判断される。
鹿島に限らず、最近の大手ゼネコンは2020年東京五輪後を見越して収益源の多様化を加速させており、その流れの一つとして不動産事業や再生エネルギー事業への投資を拡大させている。今後、鹿島建設に続いて他の大手ゼネコンも収益源多様化のためにREITやインフラファンドの活用に動いてくるか注目されよう。
また、鹿島プライベートリート投資法人の設立により、2010年12月に1銘柄から始まった私募REIT市場は8年を経ずして28銘柄を擁するに至った(銘柄数からは、当初私募REIT運用を目的として組成されたものの、後に上場を目指すことになったPAGプライベートリート投資法人を除外している)。運用資産額も2.5兆円に迫る水準まで成長し、スポンサーもデベロッパー以外に商社、証券会社、物流企業、ゼネコン、地銀と多様性を増してきた私募REIT市場がこの先どこまで成長を続けていくかも興味深い。

物件動向

4月2日週の物件動向だが、以下の2案件が発表された。

a.広島県広島市:「広島西飛行場跡地活用計画」
4月4日、広島市の南側に広がる広島西飛行場跡地について、同市と広島県は跡地活用に係る事業予定者として大和ハウス工業グループを選定した。
市と県は当該飛行場跡地を「広域防災ゾーン」、「新たな産業(雇用)ゾーン」、「スポーツ・レクリエーションゾーン」、「新たな産業(にぎわい)ゾーン」の4区画に分け、「新たな産業(雇用)ゾーン」と「新たな産業(にぎわい)ゾーン」で再開発を担う事業予定者を公募していた。
大和ハウス工業は、敷地面積約17ha超に及ぶ「新たな産業(雇用)ゾーン」を対象として物流施設を中心に研究施設やオフィス、工場から成る複合産業拠点を創出する開発計画(概算事業費として111億円を見込む)を提出し、選定委員会から高い評価を得て選定を勝ち取った。
県と市は今後、「新たな産業(雇用)ゾーン」開発計画の実現に向けて大和ハウス工業グループと取り組みを進める一方、選定事業予定者なしとなった「新たな産業(にぎわい)ゾーン」については引き続き活用策を模索していくという。
b.京都府京都市:「新風館再開発計画」
4月6日、NTT都市開発株式会社(以下、NTT都市開発)が京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町で進めている「新風館再開発計画」について、外資系ホテル運営会社エースホテルの事業参画を発表した。
それによると、エースホテルはホテル部分の運営担当者として事業に参画する。エースホテルとしては今回が初のアジア圏進出だが、観光地として国際的なブランドを確立している京都市の中心部という立地と地下鉄「烏丸御池」駅に直結という交通の利便性を兼ね備えた物件の将来性に期待を示しているという。
なお再開発の対象となっている新風館とは、大正時代に電話交換施設として建設された鉄筋コンクリート造の洋館で、京都市登録有形文化財にも指定された。電話交換施設としての使命を終えた後は商業施設として利用されていたが、その後、更なる機能性及び収益性の向上を目的として、洋館部分を従来通り保存しながら商業施設とホテルの複合施設として再開発が進められることになった(2017年10月に着工済み。2019年末の開業予定)。
決算発表動画
物件取得価格ランキング
1 新宿三井ビルディング 1,700億円
2 飯田橋グラン・ブルーム 1,389億円
3 六本木ヒルズ森タワー 1,154億円
4 汐留ビルディング 1,069億円
5 東京汐留ビルディング 825億円
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