2015年05月08日

ケネディクス・レジデンシャル投資法人(3278)

ケネディクス・レジデンシャル投資法人は、全国の賃貸住宅への投資に特化している。また、一部、社宅や学生寮、また高齢者向け住宅にも投資を行う。

ケネディクス・レジデンシャル投資法人

①不動産のプロフェッショナルとしての知識・経験による「目利きを活かした着実な外部成長」、②ケネディックスの賃貸住宅管理のノウハウを生かした「効率的な収益マネジメント」、及び③既成概念にとらわれず柔軟に機動的に「新しい取組みへの挑戦」を行う、という三つの基本戦略に基づき投資・運用を行うとしている。そのうえで、安定した賃貸収益の獲得と資産規模の着実な成長を実現し、投資主利益の最大化を目指す。

ここがポイント

KDRは、12年4月の上場以来かなりの期間にわたり、投資口価格のパフォーマンス(騰落率)が目立たなかった。12年7-9月期以降、13年7-9月期までの5四半期の騰落率をみると、このうち4四半期で、KDRのパフォーマンスは東証リートのそれを下回った。しかし、13年10-12月期以降15年1-3月期までの6四半期では5度、KDRのパフォーマンスが東証リートのそれを上回った。とりわけ、直近は3四半期続けてKDRが東証リート指数を上回っていることからみれば、KDRのパフォーマンスは回復基調にあると言えそうだ。

KDRと東証リート指数の騰落率(四半期%)
 15年14年13年12年
四半期 1Q 4Q 3Q 2Q 1Q 4Q 3Q 2Q 1Q 4Q 3Q
東証リート -2% 14% 5% 9% -3% 0% 8% -15% 47% 9% 7%
KDR 3% 29% 19% 6% -2% 6% -3% -3% 21% 9% -3%
KDR-東証R 5% 15% 15% -3% 1% 6% -11% 12% -26% 0% -10%

その背景として、公募増資や低金利での借り入れによる外部成長が継続していることがある。とりわけ、パフォーマンスが上がらない要因と推測される地方物件の比率の高さが、改善してきた。実際、KDRは近時、東京や主要大都市中心部での大規模物件の取得が目立つ。これは、2年連続で実施された増資の効果の一つと言える。同時に増資による資産の拡大で、東京株式市場での流動性が高まることも、パフォーマンスの向上につながっているとみられる。その結果、14年1月期では、投資口時価総額1000億円と安定分配金6000円という運用目標を超えた。
一方、14年1月末は51.4%だった総資産有利子負債比率(LTV)が、同2月の公募増資により46.6%(当時の会社試算による)に低下した。今後50%程度まで上げると仮定した場合、約108億円の借入余力があり(会社試算による)、借入による機動的な外部成長を図ることが可能となる。これは、資本効率を高めて、更なるパフォーマンスの向上につながる可能性がある。とりわけ、日銀が量的質的金融緩和を長期にわたり継続すると見られていることは、LTVの引き上げの効果を高めよう。ただし、仮に金利動向が不安定となる事態があれば、投資口価格のボラティリティ(変動性)が上昇するリスクには留意する必要があろう。
なお、KDRが15年3月に首都圏の物件に対する優先交渉権の取得を発表した際には、投資口価格は上昇した。今後も、このような動きがあるのか注目される。

物件探訪

KDRの投資物件は、首都圏や地方の主要都市にある、中堅から大型マンションが中心。誰もが一等地と認める地位(じぐらい)の高い土地や、生活周辺施設(公園、商業施設、病院)などへのアクセスが良い生活利便性の高い土地を、同社は「人を惹きつける力」のある物件をして注目している。なお、各物件への投資比率は比較的低く、この観点では一定のリスク分散効果が期待できる。

物件1

KDXレジデンス半蔵門 4,832百万円(当初投資金額、以下同様) 3.3%(投資比率、以下同様)
住所は東京都千代田区麹町2丁目。東京メトロ半蔵門線「半蔵門」駅から徒歩約 1 分、同有楽町線「麹町」駅から徒歩約 4 分。皇居(千鳥ヶ淵)に近い東京の中心地に位置する、閑静な高級住宅地。鉄骨鉄筋、地下1階付13階建て、全戸ファミリー・タイプで85戸。03年竣工で、KDRは15年2月に取得。

物件2

KDX代官山レジデンス 4,700百万円 3.2%
住所は東京都渋谷区猿楽町。東急代官山駅とJR渋谷駅の間に位置する。外国公館が点在し、住宅地としては国内でも有数の地位の高い土地にある。地下2階付6階建てで、55㎡前後の1LDKを中心に86戸(スモール・ファミリー・タイプ)。内装・設備共に、当地域入居者層が求める水準に合致。竣工は03年で、KDRの取得は12年5月。

物件3

KDXレジデンス大濠ハーバービュータワー 4,606百万円 3.2%
住所は福岡市中央区1丁目。市営地下鉄空港線「大濠公園」駅から徒歩約 9 分。最寄り駅から中心街の「天神」駅まで約 5 分、「博多」駅まで約 10 分。公園が近く居住環境が良い一方、コンビニ等の生活環境を兼ね備えていることから、単身者や家族世帯の安定した賃貸需要が見込まれている。地下1階付29階建てで、212戸(スモール・ファミリー・タイプ)。09年の竣工で、KDRは15年2月に取得。

物件4

KDXレジデンス戸越 3,745百万円 2.6%
住所は東京都品川区戸越5丁目。都営浅草線「戸越」駅から徒歩約4 分、東急池上線「荏原中延」駅及び同大井町線「戸越公園」駅からそれぞれ徒歩約6 分。地下1階付14階建てで144戸(スモール・ファミリー・タイプ)。文庫の森(公園)や戸越公園に近い一方、戸越銀座商店街の近傍であり、生活環境と居住快適性を兼ね備えているため、単身・夫婦世帯を中心に安定した賃貸需要が見込まれている。06年竣工で、KDRは14年8月に取得。

物件5

レオパレスFlat新栄 3,500百万円 2.4%
住所は、名古屋市中区新栄1丁目。市営地下鉄東山線「新栄町」駅から徒歩約7 分。中心街の「栄」エリアまでは徒歩でアクセス可能。コンビニ、銀行や病院等が近いことから、名古屋中心地に勤務する単身世帯からの賃貸需要が見込まれる。鉄筋21階建てで274戸(シングル・タイプ)。04年に竣工し、KDRは14年6月に取得した。

銘柄概要

2015年04月22日時点

項目データ
銘柄名 ケネディクス・レジデンシャル投資法人
略号 KDR
コード 3278
設立 2011年11月
上場 2012年4月
決算 1月・7月
運用会社 ケネディクス不動産投資顧問(株)
資産管理会社 みずほ信託銀行
投資対象 賃貸住宅中心
系列 独立系(米ケネディクス)
総資産 1,323億円
純資産 588億円
投資口 279,122口
時価 364,500円(15年4月22日)
時価総額 1,272億円(15年4月22日)
52週高値 399,500円(15年1月16日)
52週安値 221,400円(14年5月16日)
売買単位 1口
格付け A(JCR)
投資主 日本トラスティサービス信託口 (27.72%)
資産管理サービス投信口 (9.16%)
主幹事証券 日興、メリル、野村、大和、みずほ、UBS

※財務テータは15年1月末現在

業績の推移

決算期項目単位2012年2013年2014年2015年
1月 営業収益 百万円 1,114 3,616 4,241
当期純利益 463 1,632 1,739
1口当り分配金 6,145 6,756 6,232
7月 営業収益 百万円 553 1,135 3,743 5,168
当期純利益 254 406 1,457 2,147
1口当り分配金 3,378 5,390 6,033 6,150

※15年7月は会社予想

決算発表動画
物件取得価格ランキング
1 新宿三井ビルディング 1,700億円
2 飯田橋グラン・ブルーム 1,389億円
3 六本木ヒルズ森タワー 1,154億円
4 汐留ビルディング 1,069億円
5 東京汐留ビルディング 825億円
株価値上り率ランキング
1 ジャパン・ホテル +2.00%
2 星野リゾート +1.09%
3 日本プロロジス +1.01%
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