2015年03月10日

日本プロロジスリート投資法人(3283)

日本プロロジスリート投資法人は、厚い含み益を背景に、分配金が比較的高いことが特徴だ。その背景には、低い資金調達コストによる物件の買収がある。物流施設を主な投資対象としているが、なかでも規模、立地条件、機能性、安全性を備えた「Aクラス物流施設」に重点的に投資し、現在合計29物件、資産規模4,050億円の物流施設ポートフォリオを運用している。

日本プロロジスリート投資法人

本投資法人は、物流施設の運営にあたっては、プロロジス・グループによる全面的なサポートを受けている。同グループは、欧米アジアの21カ国に展開し、3,000棟の物流施設を4,000の企業に賃貸している、世界最大規模の物流不動産の開発・所有・運営会社である。同社はニューヨーク証券取引所にREITとして上場している。

ここがポイント

日本プロロジスリート投資法人は、年額分配金や含み益が業界トップ水準だ(「銘柄ランキング」参照)。低コストで資金を調達し、効率的な物件を買う戦略が奏功している。具体的には、プロロジスが開発する質の高い物件を取得することは、リスクが低いとして市場の安心感につながる。これにより、株価にプレミアムを付くことで(純資産より高い株価が付く)、エクイティ・ファイナンス(増資等)による安価な資金調達が可能になる。すなわち比較的低リスクで高品質の物件取得→市場の評価が上がることで株価にプレミアム→低コストの資金調達による財務体質の改善→比較的高い年額分配金や含み益の増加、といった好循環が生まれているのである。
 なお、JCR(日本格付け研究所)は2月3日、同投資法人の格付けを、従来のAA-(見通しは「ポジティブ」)からAA(同「安定的」)に一段階引き上げた。JCRは、①同投資法人は順調な外部成長により資産が上場時に比べて2.3倍になったことで、資産の分散がなされ収益の安定性が増したこと、また②今後もプロロジスから優先的に有望物件を調達できるなど、外部成長が続く見通しである点を評価している。
 ただし、東日本大震災の復興需要や東京オリンピックの開催を控え、人手不足や資材価格の上昇により、建設コスト等が上昇している。そのため、同法人の戦略である新たな物件による利回りの向上(外部成長)は、次第に難しくなる可能性がある点は留意しておく必要がある。
また冒頭に業界最高水準の分配金としているが、減価償却費の一部を分配原資とする利益超過分配が含まれている点も注意が必要だ。同社と他の物流系1銘柄は、恒常的に利益超過分配を行っているため、その金額分は分配金水準が嵩上げされている。

物件探訪

日本プロロジスリートの投資物件は、プロロジスが開発し、安定稼働している物流施設である。物流施設の世界のトップ・ランナーであるプロロジス社の開発施設であることで、テナントの信頼感は高く、大手企業への訴求力は強いとみられる。

物件1

プロロジスパーク市川1 339億円(当初投資金額、以下同様) 8.4%(投資比率、以下同様)
首都高速湾岸線・千鳥インターチェンジに近く、都心へのアクセスは容易である。さらに、17年には東京外環道路の延長によるメリットもある。楽天やコストコがテナント。プロロジスにより08年に竣工し、12年に同投資法人が取得した。

物件2

プロロジスパーク東京太田 295億円 7.3%
最寄りは首都高速・大井町南インターチェンジで、環状七号線のスタート地点にあるため、首都圏にいずれの地域に対してもアクセスはすぐれている。佐川グローバル・ロジスティックスやライフコーポレーションの物流を賄うほか、空港関連のオフィスも入居している。プロロジスにより05年に竣工し、13年に同投資法人が取得した。

物件3

プロロジスパーク座間 279億円 6.9%
東名高速・横浜町田インターチェンジに近く、首都圏と中部・近畿との中継地に位置する。あらた(東証1部:コード2733)、ヴァンテック(積水化グループ)や関東運輸などがテナント。プロロジスにより09年に竣工し、12年に同法人が取得。

物件4

プロロジスパーク川島 256億円 6.3%
埼玉県比企郡川島にあり、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の中島インターチェンジが最寄り。なお、圏央道は15年度に8割近くが完成予定。首都圏の環状線である国道16号にも近く、北関東と首都圏を結ぶ輸送基地の役目を果たす。テナントは、化粧品のコーセー、医療機器のニプロや食品メーカーの高山。プロロジスにより11年に竣工し、12年に同法人が取得。

物件5

プロロジスパーク大阪2 250億円 6.2%
北港の物流拠点集積エリアに位置し、神高速湾岸線の北港西インターチェンジに近い。大阪の市街地に近い此花区にある。テナントは、ダイキン工業やニプロなど。プロロジストリート開発により07年に竣工し、13年に同投資法人が取得した。

銘柄概要

2015年04月1日時点

項目データ
銘柄名 日本プロロジスリート投資法人
略号 NPR
コード 3283
設立 2012年11月
上場 2013年2月
決算 5月・11月
運用会社 プロロジス・リート・マネジメント
資産管理会社 三井住友信託銀行
投資対象 大都市圏の物流施設
系列 プロロジス(NY証取上場リート)
売買単位 1口
格付け AA(JCR)
投資主 プロロジス・プロパティ・ジャパン特定目的会社(14.98%)
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社 (13.93%)
主幹事証券 SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、野村證券

※財務テータは14年11月末時点

業績の推移

決算期項目単位2013年2014年2015年(※)
5月 営業収益 百万円 3,565 12,693 14,220
当期純利益 1,333 5,185 5,872
1口当り分配金 8,713 3,793 3,874
11月 営業収益 百万円 10,113 13,436 14,380
当期純利益 4,642 5,926 5,866
1口当り分配金 18,811 3,742 3,905

※15年は会社予想

決算発表動画
物件取得価格ランキング
1 新宿三井ビルディング 1,700億円
2 飯田橋グラン・ブルーム 1,389億円
3 六本木ヒルズ森タワー 1,154億円
4 汐留ビルディング 1,069億円
5 東京汐留ビルディング 825億円
株価値上り率ランキング
1 日本ビルファンド +1.34%
2 ジャパンリアル +1.31%
3 アドバンス・ロジ +1.17%
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